
大津市 関津 の稲刈り後の田んぼに、みこしを担ぐ人や盆踊りを踊る人など素朴な顔をした手作りのかかしがたたずんでいる。高齢者サロン「関津ふれあいサロン」が中心となり、地域住民らが10年以上制作を続けている、ちょっとした〈地域のシンボル〉。来年1月末まで見ることができる。(小手川湖子)
かかしづくりをしているのは、サロン代表の木内恭子さん(80)をはじめとしたサロンのメンバーたち。2011年に木内さんが中国地方を訪れた際、田んぼで見かけた椅子に座ったおじいさんが、かかしだった。よく見ないとわからないほどの出来栄えだったことから「面白い」と、自身もかかしを作り始めた。15年からはサロンメンバーら地域の住民と持ち寄った材料で作り、地域で行事が催されるたびに展示を行った。
かかしの骨格は男性がワイヤなどで作り、女性は肉付けと衣装を担当する。不用となった衣類やリサイクル用品、ペットボトルや発泡スチロールなどを使っている。当初は道路の近くに置いていたが、夜間に通りかかった人が驚いて怖がるため、イベントをにぎやかにするための展示に切り替え、かわいい顔つきに作るようこだわり始めた。
その後、実際に鳥よけのために畑にかかしを置き始めたところ、道行く人が立ち止まり、写真を撮っているのに気づいた。「こういうのがウケるのか」。20年から本格的にかかし制作に乗り出し、同年10月から翌年3月末まで展示し、かかしの人気投票も行った。
地域行事の中止が相次いだ新型コロナウイルス禍では「野外でできるイベントを」と、「せきのつかかし祭」を企画。地元の中学生も参加し、郵便局にもかかしを設置するなど町をまきこんだ。
昨年は人手不足で開催を見送ったが、今年は10月17日に2年ぶりに実施。「秋祭り」と「防災」をテーマに、盆踊りの大勢の踊り手、おばあさんの案内で小屋へ避難する子どもたちが約50体で表現され、60~80歳の約35人が週2回、公民館に集まって作り上げた。当日は、のどかな田んぼが多くの人でにぎわった。
近くに住む男性(56)は、「30年前のなつかしい盆踊りの雰囲気を思い出した」と話し、「かかしを通してこの地域は楽しいところだと伝えたい。今後も続けていく」と木内さんは力を込める。
かかしは自由に見学することができる。2月以降は近くの桜並木などに展示する予定。車での来訪には、田んぼの前の空きスペースを臨時駐車場として利用できる。
出典:読売新聞オンライン
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