長浜のメーカー 龍谷大などと開発
長浜市の老舗花火メーカー「
花火工業」(本庄町)が、水に溶ける花火玉の玉皮を龍谷大などと共同開発した。花火玉の燃えかすが原因でトラブルとなるケースが全国で散見される中、今回の開発が課題解決の一助となることが期待されている。(清家俊生)
同社のルーツは、鉄砲の町として栄え、花火製造が盛んだった長浜市国友地区。各地の花火大会のほか、昨年は大阪・関西万博のフィナーレに花火玉を提供した。
花火大会を巡っては近年、花火玉の燃えかすが原因で中止となるケースが相次いでいる。徳島県鳴門市では2024年、例年8月7日に開催している市納涼花火大会が従来の場所での開催が中止となった。打ち上げ場所の近くに新たな住宅が増え、飛散した燃えかすにより「車に染みができた」「屋根の太陽光パネルが汚れていく」といった苦情が出たのが理由だった。
同社は、05年から環境に優しい「エコ花火」を製造。ただ、玉皮に使われる厚紙の破片が自然分解するのに時間を要するため、燃えかすが田畑や地面、琵琶湖の湖岸に長い時間放置される課題が残っていた。


18年、龍谷大先端理工学部の中沖隆彦教授に「水に溶けて、生分解性の花火玉を作れないか」と相談。中沖教授と同大学の大学院生、プラスチック成形加工業「セーコン」(横浜市)などと開発に着手した。
材料には、スライムや洗濯のりの素材になる水溶性の樹脂を使用。打ち上げ後に雨水や湖水に触れると分解されることが期待されたが、製造の過程で機材にこびりつくなどの不具合もあり、改善を繰り返して完成するまでに約8年を要した。
この間、同大学では約10人の学生が開発に携わった。昨春から参加する大学院生の広田真優さん(23)は「屋外に置いた玉皮が(雨水などで)分解される様子を毎日観察した。『これでいける』となった時はうれしかった」と話す。
柿木花火工業は23日、長浜市内で記者会見を開いて完成を報告。柿木博幸社長(57)は「屋根や車のボンネットに落ちても雨や水に触れることで確実に分解される。エコ花火を始めてから約20年の集大成のものができた」と自信を見せた。
開発した玉皮を用いた花火玉は今後、同市の長浜・北びわ湖大花火大会をはじめ、県内外の花火大会で使われるという。