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ふなずし 快腸導く乳酸菌

龍谷大農学部など分析

「長期発酵一因 風味に影響か」

湖国の珍味として知られる「ふなずし」(大津市で)
湖国の珍味として知られる「ふなずし」(大津市で)
ニゴロブナを漬ける作業風景(東近江市で)
ニゴロブナを漬ける作業風景(東近江市で)

 龍谷大農学部と県立琵琶湖博物館などの研究グループは、県内で市販されている「ふなずし」を分析し、主に2種類の乳酸菌が含まれていたことを明らかにした。うち一つは整腸作用の強い独特な乳酸菌といい、龍谷大の田辺公一教授(微生物学)は「他のなれずしよりも長期間の発酵を要するのが一因とみられる。ふなずしの風味にも影響している可能性もある」と話している。(林華代)

 ふなずしは琵琶湖にしかいないニゴロブナなどを塩漬けし、ご飯と一緒におけで夏から半年以上漬け込み、発酵させる。発酵中にできる乳酸によって骨が軟らかくなり、骨まで食べられるほか、酸性化が進むことで雑菌の繁殖が抑えられ、たんぱく質が分解されてうまみが増幅する。保存食で、整腸効果もあるとされる。

 これまでの研究では、乳酸菌がふなずしの発酵に関わっていることはわかっていたが、多くのサンプルを一度に調査した例はあまりなかった。研究グループは、2023年1月に県内のスーパーや道の駅などで27種類のニゴロブナやゲンゴロウブナなどのふなずしを購入し、微生物解析と成分分析を実施した。

 その結果、22種類のふなずしから特定の乳酸菌2種類が多く検出された。一方で、サバやアユを使ったなれずしにある乳酸菌はほぼ検出されなかった。他のなれずしの発酵期間は2週間から1か月程度なのに対し、ふなずしは数か月必要で、魚種の違いだけでなく発酵期間の差も乳酸菌の形成に関わっているとみられるという。

 また、県東部の近江八幡市と県北部の長浜市では、乳酸菌の種類に地域差があった。田辺教授は「原料となるフナや米、製造方法、気温なども乳酸菌の違いを生む要因となる可能性がある。今後詳細に調査したい」としている。

 研究成果は昨年、日本生物高分子学会の「食品・臨床栄養」電子版で公表。研究の一部は、3月15日午後1時半から県立琵琶湖博物館セミナー室で開催される研究報告会「江戸時代のフナズシに、挑戦する」でも報告される。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE ふなずし 快腸導く乳酸菌

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