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全国待機児童数 大津市 2年連続最多 

需要増も人手不足 上位10自治体に県内3市

 大津市の待機児童数(4月1日時点)が2年連続で全国最多だったことが、こども家庭庁のまとめでわかった。上位10自治体に草津市と近江八幡市も含まれた。各市では宅地やマンション開発が活発で、受け皿の施設整備を進めているが、保育士の人手不足も深刻で、対応が急がれる。(青山大起)

大津市が待機児童対策で開設した保育園(大津市で)
大津市が待機児童対策で開設した保育園(大津市で)

 同庁が8月下旬に公表したまとめでは、全国の待機児童数は前年比313人減の2254人。滋賀は18人減の335人で、全体の約15%を占めた。保育園などの利用申込者数に占める待機児童の割合は0・87%で全国で最も高かった。

 大津市は132人。昨年より約3割減ったが、全国で唯一100人を超えた。 市は昨年、資格は持つが保育士として働いていない「潜在保育士」が新たに市内で勤務する際、年最大12万円を給付する制度を新設。4月に市の中部、北部に0~2歳児を受け入れる小規模保育施設を2か所新設し、計約40人を受け入れた。待機児童数は昨年から52人減ったが、新規の利用申込者数は51人増えたという。

 市保育入所課の担当者は「転入者や共働き世帯の増加で保育ニーズが高まっている」と分析。2026年度に保育施設をさらに2か所開設するほか、今年から保育士と幼稚園教諭の採用枠を統合。採用状況に応じて割り振れるようにした。

 草津市は31人増の48人で全国6位だった。市は、京阪地区のベッドタウンとして転入者が多いこと、育児休業からの復帰や保育施設探しの時期の早まりが要因とみる。対策として、26年度の保育士・幼稚園教諭の採用人数を今年の約2倍に増やし、小規模保育施設を3か所開設する予定という。

 近江八幡市は25人増の40人で9位だった。北里学区で約200戸の住宅開発があったが、4月に新設予定だった定員70人の認定こども園の開園が遅れたことが響いて、待機児童数が増えてしまったという。

 3市では特に0~2歳の低年齢児の保育ニーズが高まっているが、大津市の場合、市のルールで1、2歳児5人に保育士1人と手厚く配置する必要がある。

 4月に同市下阪本に開園した「みらいもみじ保育園」の内田可奈子施設長(43)は「大津の保育所は出産前から見学に訪れる人もいる『激戦区』だが、保育士がなかなか確保できず、勤務シフト作りにも苦労している」と漏らす。

 県内には保育士資格を取得できる大学が4か所あるが、滋賀文教短大(長浜市)が26年度から学生募集を停止するなど、さらに確保が難しくなる恐れもあり、市町には「限られた人材の奪い合いになる」との懸念も強い。

 三日月知事は8月下旬の記者会見で、待機児童について「早急に改善すべきテーマだ」と強調。「保育士と園とのマッチングや、潜在保育士の確保、地域限定保育士試験の導入などを進めたい」との考えを示した。

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