東近江市、ブリヂストンと協定
東近江市とタイヤ製造大手「ブリヂストン」(本社・東京都)は、空気を入れず、パンクもしない次世代タイヤの実用化を目指し、連携協定を結んだ。市が運行する自動運転サービスの車両に、同社が開発するタイヤを装着して実証実験に取り組み、2026年中の実装(実用化)を目指す。(中村総一郎)
自動運転実験 空気なし、パンクせず
同社によると、開発中のタイヤは「AirFree(エアフリー)」。空気
不要のため、パンクせず、空気圧に起因する故障が発生しない。空気の代わりに特殊形状の樹脂製スポークが荷重を支え、乗り心地を確保する。
さらに、路面に接するゴム部分は摩耗した場合、貼り替えることができる。スポーク部分はリサイクルしやすい素材を使用。粉砕、チップ化、溶かすなどして再成型をできるようにしたいという。
このタイヤを、同市が奥永源寺地域で運行している自動運転サービス「奥永源寺けい流カー」に装着して実証実験する。時速20キロ・メートル未満で低速運転する小型電動車両で、「グリーンスローモビリティ(グリスロ)」と呼ばれる。
車両は定員6人のカート型。道の駅「奥永源寺渓流の里」(東近江市蓼畑町)と黄和田町、杠葉尾町の往復4・8キロ・メートルを、道路上に埋め込まれた電磁誘導線をたどり、「自動運転レベル2」で走行する。
ドライバー1人が乗車し、一部は手動運転。中山間地域の生活交通確保を目的に2021年4月から本格運行している。市によると、24年12月までに地域住民のほか、観光客ら延べ4834人が利用。道の駅で開かれる朝市への農産物出荷など荷物輸送にも活用されている。
市とブリヂストンは今年1月に連携協定を締結した。市は「グリスロのさらなる進化を促し、持続可能な循環型社会の構築に大きく貢献する」と期待し、同社は「パンクの心配がなく、メンテナンスの効率化と資源生産性の向上実現で、タイヤをより長く、安心、安全に使う新しい価値を創出する。高齢化、過疎化、労働力不足という地域課題に直面する地域社会を足元から支えたい」としている。