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<湖国Life>湖上見張り 迅速に救助 

高島でマリーナ経営 伊勢田 稔さん 68

危険な船舶がないか湖上に目を光らせる伊勢田さん(高島市で)
危険な船舶がないか湖上に目を光らせる伊勢田さん(高島市で)
高島署では民徳署長(右)から感謝状が贈られた(高島市で)
高島署では民徳署長(右)から感謝状が贈られた(高島市で)

 琵琶湖でみんなが安心して遊べる環境をつくりたい――。高島市安曇川町の湖岸でマリーナを経営する伊勢田稔さん(68)は、カヤックやスタンドアップパドルボード(SUP)などの水難事故で多くの人命救助に貢献している。先月3日も強風で岸に戻れなくなったカヤックを助けて、今年の救助者数は計16人にも上り、高島署から感謝状が贈られた。

 大阪府豊中市出身。大学卒業後、神奈川県で働きながら趣味でウィンドサーフィンを続けていたが、「マリンスポーツの楽しさをたくさんの人に知ってもらいたい」と29歳で脱サラ。安曇川町にウィンドサーフィンの会員制クラブ「ビワコマリンスポーツクラブ」を創設した。現在はクラブに加え、カヤックやヨットの体験スクールや小・中・高校生の校外学習なども実施している。

 約20年前から県公安委員会の委嘱を受け、県水上安全指導員としても活動。県警から救助要請があれば、マリーナで所有するプレジャーボートや水上バイクで現場に駆けつける。平時も直ちに出動できるよう、なるべく従業員らとボートで湖上を見張り、岸から双眼鏡で監視することも多い。無謀な運転をしている水上バイクや、風が強い日に沖に出ているカヤックなど、水難事故の予兆を見つけると、注意したり、県警に通報したりしている。

 今年は11月末までにSUPのレジャー客ら7件計16人を救助した。同3日には、高島市安曇川沖でカヤックの中国人男性2人から「風が強くて陸に戻れない」と昼頃110番があり、高島署からの連絡で伊勢田さんが水上バイクで捜索。約3キロ沖で動けなくなっていたカヤック2艇を見つけ、岸までえい航した。

 こうした功績をたたえ、高島署は12月2日、伊勢田さんに感謝状を贈呈した。同署は船を所有しておらず、水難事故が発生した場合、県警水上警察隊の警備艇が現場水域に到着するまで1時間以上かかることもあるという。民徳隆署長は「水難事故は人命に直結する。伊勢田さんに率先して活動していただき、何度も助けられている」と感謝の言葉を述べた。

 湖西地域は、春や秋に北西からの強い風が吹く。午前中は穏やかでも午後に急変し、戻れなくなるカヤックやSUPは多い。伊勢田さんは「助けるだけでは水難事故は減らず、抜本的な解決につながらない」と、今年から救助された人に琵琶湖の風や波などについて説明するようにした。また目にした湖上の危険な事案は県警に報告し、県警から啓発してもらえるように働きかけている。

 伊勢田さんは「大切なのは、事故が起きないように未然に防ぐこと。高島がマリンスポーツで楽しめる魅力ある町になるため、貢献していきたい」と話す。(青山大起)

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