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大津絵の世界 楽しんで

現代唯一の絵師・高橋さんが個展

成り立ちや歴史紹介 新作も

「ユーモアあふれる大津絵を楽しんでほしい」と話す高橋さん(大津市で)
「ユーモアあふれる大津絵を楽しんでほしい」と話す高橋さん(大津市で)
個展に合わせて販売されている大津絵とのコラボ菓子(大津市で)
個展に合わせて販売されている大津絵とのコラボ菓子(大津市で)

 江戸時代に大津で誕生した民画「大津絵」を描く現代唯一の絵師、高橋
松山しょうざん
さん(53)の個展が大津市の和菓子店「
叶匠寿庵かのうしょうじゅあん
」で開かれている。会場には新作を含む約80点が並び、高橋さんは「ユニークな大津絵の世界を楽しんでもらえれば」と話している。(角川哲朗)

 大津絵は、東海道五十三次の宿場町・大津宿の周辺で江戸初期に作られ、旅人などの間で土産物として人気を集めた。当初は神仏画が中心だったが、人気とともに独自に発展。元禄期には鬼や動物を擬人化して表情豊かに描かれ、人生訓などを歌にした「道歌」が添えられるようになったという。風刺を織り込み、ユーモアや愛くるしさが漂う作風が特徴となっている。

 高橋さんは、大津絵を継承する絵師の五代目として1996年から本格的に描き始めた。その後、各地で個展を開いたり、国内外で実技講習を開いたりするなど、大津絵の普及に取り組んでいる。

 大津絵は「安く、早く、大量に」描くことが目的だったとされ、当時安価だった「泥絵の具」を使い、泥地を塗った半紙に描かれている。高橋さんによると大津絵には風景画や春画をモチーフにした作品はなく、どんな世代でも楽しめる絵がほとんどで、現代でいう漫画や映画のような役割を果たしていた。インパクトがあり、分かりやすさだけでなく、絵を見ていろいろな想像を膨らませられる作品が多いという。

 個展は、同社の本社や農場、販売店などがある「
寿長生すない

さと
」(大津市大石龍門)で行う「大津絵とあずきまつり」と題したイベントに合わせて実施。大津の伝統文化の継承や発信をしている同社が、高橋さんにコラボを依頼し実現した。

 個展では大津絵の成り立ちや歴史、制作の過程や道具などを紹介しながら、高橋さんの新作なども展示販売。新作は鬼が鼓を打つ様子などを描いた「鬼の五人
囃子ばやし
」など約10点で、江戸期などに描かれていたものを復刻させた作品なども並ぶ。

 同社では、高橋さんがイベントのために描き下ろした、鬼が小豆をより分ける様子を描いた「豆

る鬼」を表面にあしらった
最中もなか
「大津絵あも歌留多」を、期間限定で会場内や県内の売り場で販売。10日午後1時からは、高橋さんが実際に大津絵を描きながら歴史などを紹介する講演会もある。高橋さんは「ユーモラスな絵がたくさんあるので、好みを見つけて、クスッと笑ってもらえれば」と来場を呼びかけている。

 24日までの午前10時~午後5時(水曜定休)。観覧無料。問い合わせは同社(077・546・3477)。

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