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完全な形の須恵器100個

沢組遺跡 出土の穴窯から

完全な形の須恵器が大量に見つかった沢組遺跡(大津市で)
完全な形の須恵器が大量に見つかった沢組遺跡(大津市で)
マカロンのような形をした須恵器(大津市で)
マカロンのような形をした須恵器(大津市で)
漁網につけていた土錘(大津市で)
漁網につけていた土錘(大津市で)

 大津市文化財保護課は、真野浄水場(真野)の改良工事に伴う、沢組遺跡の発掘調査結果を25日、発表した。6世紀代の須恵器を焼くための穴窯が三つ出土し、その一つからは割れていない状態の須恵器が約100個見つかった。同課は「当時の焼成技術の一端が垣間見える貴重な資料」としている。(林華代)

「当時の焼成技術 垣間見える」

 これまで真野地域付近では、古墳時代後期の集落跡や須恵器窯が見つかっている。沢組遺跡では、1973年に県教育委員会が調査した際に、古墳時代の須恵器窯が出土しており、一帯で窯業が営まれていたと考えられていた。

 今年1月から行っていた同課の調査では、斜面を利用したトンネル状の窯が3基見つかった。開発の影響で窯の全長はわからなかったが、出土品から6世紀初めから7世紀初めまでのものと考えられるという。

 中でも、6世紀初め~前半の窯は長さ6・7メートル、幅最大2メートル、高さ0・8メートルにわたって出土。その構造は、土器を焼く「焼成部」、燃料を燃やす「燃焼部」、失敗品や炭をかき出す「灰原」に分かれていたという。

 さらに崩落した天井が確認されたほか、茶わんと蓋がセットになったマカロンのような形状の須恵器など、約100個が完全な形で発見された。器が滑らないように、土器の破片を土台として置く工夫をした跡が見られ、古墳儀礼に使う装飾付き須恵器や、漁網につける重り「土錘」も確認された。

 また、別の窯には、わらや稲といった繊維質が入った粘土で、天井を厚さ15センチにわたって補強した跡があった。もう一つの窯からは、生焼けとみられる白っぽい須恵器の破片が大量に見つかり、失敗品を集めたごみ捨て場だった可能性が考えられるという。

 同課の担当者は「古墳に副葬するための特殊な須恵器のほか、集落の需要に応え、生活用品を生産した遺跡だ。この地で約100年間、土器生産が展開されていたことがわかった」としており、木立雅朗・立命館大教授(窯業考古学)は「須恵器焼成技術の復元のためには極めて重要な調査」と評価している。

     ◇

 同課は28日午前10時半~午後3時半に現地説明会を開く。駐車場はなく、荒天中止。問い合わせは同課(077・528・2638)。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE 完全な形の須恵器100個

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