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浄土双六 振り出しは「人生」

江戸後期 仏教広めるツール

浄土双六(円常寺所蔵)
浄土双六(円常寺所蔵)
掛け軸として保管されていた浄土双六について説明する小栗栖所長(彦根市の円常寺で)
掛け軸として保管されていた浄土双六について説明する小栗栖所長(彦根市の円常寺で)

 江戸時代後期に作られた「
浄土双六じょうどすごろく
」が、彦根市の円常寺で見つかった。現世を示す「人生」の升目を振り出しに、仏が待つ「浄土」で上がるルールで、仏教の教えを庶民に伝えるために作られたとされる。これまでに三重県で2点、山形県で1点が確認されており、国内では4例目という。(立花宏司)

彦根・円常寺 掛け軸で保管

 今回見つかった浄土双六の大きさは縦98・9センチ、横84・9センチで、円常寺では100年以上前から掛け軸として保管してきたという。今年1月、同寺の北條真純老隠が播磨学研究所(兵庫県姫路市)の小栗栖健治所長の著書「図説地獄絵の世界」の中に、よく似た図があるのに気づき、小栗栖所長に連絡。それまでに確認されていたほか3例の浄土双六と同様のものとわかった。

 小栗栖所長によると、升目は縦が最大9段、横が最大6列で、四方に草花の絵を配し、浄土や地獄などが描かれている。それぞれの面に「南」「無」「阿」「弥」「陀」「仏」と書かれたサイコロを振り、指定された地獄や天などの升目に進む動きを繰り返すルールという。

 すごろくには、「弘法大師御作先念佛百遍」(弘法大師が作ったもので、すごろくをする前に『
南無阿弥陀仏なむあみだぶつ
』を百遍唱えなさい)、右端には「浄土灌頂」(浄土への成仏が約束される)の文字も書かれている。

 浄土双六は、江戸時代に仏の教えを説いて各地を回った熊野三山(和歌山県)の女性宗教者のグループ「
熊野比丘尼くまのびくに
」が使ったとされる。同寺には、城下町の彦根に居住した熊野比丘尼の遺品が受け継がれたとみられる。

 5月11日に同寺で行われた特別公開と記念講演で、同寺に招かれた小栗栖所長は「浄土双六は、『いかに生きていけばいいのか』『死後の世界を安心なものにしたい』という庶民の気持ちが表れており興味深い」と話した。

 同寺では8月11~15日にも公開予定で、北條秀雄住職は「個人としては歴史に名前が残らない宗教者が、遊びをまじえて教えを広めた証し。大切に守っていきたい」と話している。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE 浄土双六 振り出しは「人生」

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