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<大津園児死傷事故5年>行動の習慣化 リスク減

「子どもたちに、散歩の時などに危険な道路や場所を教えてあげてほしい」と話す蓮花名誉教授(奈良市で)
「子どもたちに、散歩の時などに危険な道路や場所を教えてあげてほしい」と話す蓮花名誉教授(奈良市で)

蓮花・帝塚山大名誉教授

 子どもを交通事故から守るために、保護者や地域、自治体などはどう取り組んでいけばいいのか。交通安全対策や交通心理学に詳しい蓮花一己・帝塚山大名誉教授に聞いた。(聞き手・林華代)

停止や安全確認など

 ――子どもが交通事故に巻き込まれないためには。

 2019年に大津市で散歩中の保育園児ら16人が死傷した事故では、子どもたちが歩道で信号待ちをしているところに車が突っ込んできました。事故のあった現場は大きな交差点で、黄色信号の際には車の急減速や急加速を招く要因になりやすい場所です。事故後、この交差点には防護柵が設置されましたが、県内には同様の危険性のある交差点がまだあると思いますので、これからも継続して歩行者を守るための措置が必要です。

 ――ほかに対策は。

 21年に千葉県八街市で児童5人がトラックにはねられ死傷した事故がありました。八街市は事故後、危険な場所には道幅を狭めるポールなどを設置して、車の速度抑制につなげました。その後も、小学校での交通教育の実施や、車両センサーを用いた車の速度や経路などの情報を集めて分析を続けています。データを活用し、効果を検証する取り組みは重要です。

 イギリスでは道路安全監査という制度があり、道路を造る前に安全な道路かどうかを審査します。日本でも、事故が多発してから対策を考えるのではなく、道路の計画時から事故が起きにくい構造などを考えることも必要です。

 ――子どもに教えることは。

 小学1年生には、ウィンカーなどの合図や車の動きがまだよく理解できていない傾向がみられます。小学3、4年生になると理解度は向上し、小学6年生では危険予測は7~8割できるとされています。危険予測に加えて、停止や安全確認など、リスクを減らすための行動の習慣化も大切です。

 奈良県は、県トラック協会、県警と冊子「子どもを交通事故からいかに守るか」を作り、地域や警察、運送事業者に配っています。監修を担当しましたが、〈1〉道路の端を歩く〈2〉手をつなぐ〈3〉走らないで歩く〈4〉車の音を聴く〈5〉コンビニエンスストアなどの出入り口で安全確認する――などを習慣化することが大事だと伝えています。

 今年は滋賀県も県トラック協会と同様の冊子を作り、県が県内の幼稚園や保育園に発送しました。子どもたちに車の合図や動き方を教えて、どのように行動すればいいのかを理解するのに役立ててもらいたいと思います。

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