軽量、耐久性 導入広がる
大津市中庄の篠津神社は江戸時代後期に建てられた本殿などの主要施設を改修し、銅板
きの屋根をチタン材で葺き替えた。軽量で耐久性があることなどから、全国の神社仏閣でもチタン葺き屋根の導入が広がりつつあるが、県神社庁によると県内の神社建築では初めて。中山恒夫宮司(58)は「防災でも期待でき、大切な社を後世に受け継げる」と期待している。(名和川徹)
祭神は
。創建年代は不明だが、神社に伝わる棟札から、室町時代には鎮座していたといい、長く地域の氏神として信仰を集めてきた。表門は明治時代初めに廃城となった膳所城の北大手門を移築したもので、1924年、重要文化財に指定されている。
同神社によると、江戸時代には膳所藩主の本多家から崇敬された。かつての本殿は1848年に台風による倒木で破損。当時の藩主本多
の寄進で2年後に再建された。当初、本殿は
葺きだったが、1976年に銅板に葺き替えられた。
本殿や
などの老朽化が進み、約10年前から、中山宮司と氏子会が改修に向け検討を始めた。その際、柱や
など、元の部材をできるだけ残すことにした。
改修に合わせ、屋根も葺き替えることにし、素材選びが課題に。その中で、価格面では銅板に比べ2割程度アップするが、▽「半永久的」と言われるほど、耐用年数の長さが期待できる▽他の金属素材に対し比較的軽量で駆体の負担が小さく、地震の揺れに強くなる――としてチタンを選んだという。
本殿、幣殿とも文化財指定はないが、神社本庁の承認を得て、2023年1月に着工。今年5月末に完成した。「社が軽くなれば、後年、災害などで修理が必要となった際にジャッキアップもでき、作業がしやすくなる」と中山宮司は話す。
葺き替えが終わった本殿、幣殿には、素材メーカーや工事関係者などが見学に訪れている。真新しい屋根はいぶし銀の輝きで、氏子らも8月17日、境内での夏祭りを心待ちにしている。