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<文化審答申>三井寺観音堂 国重文に 

南院計5棟

市街地や琵琶湖を望む高台にある観音堂(左端)などの伽藍(大津市で)
市街地や琵琶湖を望む高台にある観音堂(左端)などの伽藍(大津市で)
床面が鏡のように桜を映し、開花シーズンには花見の人たちでにぎわう観月舞台(4月5日撮影)
床面が鏡のように桜を映し、開花シーズンには花見の人たちでにぎわう観月舞台(4月5日撮影)
観音堂の内部(京都伝統建築技術協会提供)
観音堂の内部(京都伝統建築技術協会提供)

 17日に開かれた国の文化審議会の答申で、県内からは天台寺門宗総本山・三井寺(園城寺)の観音堂を始めとする札所
伽藍がらん
の建造物計5棟が重要文化財に指定される見通しとなった。日本最古とされる巡礼路「西国三十三所観音霊場」の第十四番札所である三井寺・観音堂には全国からの参拝も多く、観音信仰の様相を今に伝える諸堂への関心がさらに高まりそうだ。(名和川徹)

 7世紀の創建と伝わる三井寺が中世以降に構えた広大な境内(北院、中院、南院)のうち、南院の伽藍の5棟。観音堂は江戸時代前期に前身の堂が焼失後、再建された。観音巡礼の隆盛に伴い増改築を重ね、広い法要空間を備えるほか、再建の様子を描いた絵馬もある。本尊は秘仏の如意輪観音
坐像ざぞう
(平安時代、重要文化財)。

 今回、観音堂とともに重文指定の見通しとなったのは、札所鐘楼、百体堂、観月舞台、絵馬堂で、いずれも江戸中期から末期の造営。大津市指定文化財の絵馬堂以外の4棟は、県指定文化財となっている。

 このうち、観月舞台は石段下から仰ぐ舞台造りが美しい。四方が吹き抜けで、古くから月見の名所だったという。2021年からは桜の開花時期に合わせ、特別に床にアクリル板を敷き、鏡のように花が映り込むよう工夫しており、花見客に親しまれている。

 百体堂には、西国、秩父、坂東の計百所霊場の観音像(模刻)を安置。春と秋には金堂内陣に遷座し、参拝者向けに特別拝観も行っている。

 伽藍からは、眼下に琵琶湖
疏水そすい
や大津の街並み、湖面が広がる。遠くには野洲市の三上山(近江富士)、北側には比叡山麓も望める。

 指定の見通しについて、三井寺の福家俊彦長吏は「歴史的なことを再評価していただき、大変意義深い。特に観音堂は再建以降、参拝者の増加に合わせ拡張されてきたが、本格的な修理はまだできていない。今後の諸堂の保存修理に向けた展望が開けるのでは」と期待。さらに、「参拝者に寺の歴史を知ってもらうための取り組みを進めていきたい」と話している。

 今回の指定が決まると、県内の重文建造物は190件、277棟(うち国宝22件、23棟)となる。

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