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<夏の高校野球 全国大会>綾羽 土壇場で底力

逆転信じ 藤田粘投

3番手で登板し、気迫の投球をみせた綾羽の藤田陸空投手(8日、甲子園球場で)=松本祐典撮影
3番手で登板し、気迫の投球をみせた綾羽の藤田陸空投手(8日、甲子園球場で)=松本祐典撮影
甲子園初勝利を挙げ、スタンドに向かう綾羽の選手たち(8日、甲子園球場で)=須藤菜々子撮影
甲子園初勝利を挙げ、スタンドに向かう綾羽の選手たち(8日、甲子園球場で)=須藤菜々子撮影

 8日に行われた第107回全国高校野球選手権大会1回戦で、綾羽は高知中央(高知)に延長十回タイブレイクの末、6―4で逆転勝ちし、甲子園初勝利を挙げた。九回二死から1点差を追いつき、十回に北川陽聖主将の2点三塁打などで一挙4点を挙げた。記録が残る1953年以降、最も遅い午後10時46分に終了した約3時間の大接戦に、最後までスタンドで応援した生徒らは歓喜に包まれた。2回戦は第9日第3試合で横浜(神奈川)と対戦する。

 1点を追う八回、3番手で登板した藤田陸空投手は2三振を奪ってテンポ良く三者凡退に抑え、グラブを力強くたたいてベンチに戻った。今夏に背番号1をつかみ、「自分のエース像は、ほえてチームを鼓舞する投手」という。気迫の投球が逆転の流れをもたらした。

 先発は変則右腕の安井悠人投手だった。右打者が並ぶ高知中央対策だが、左腕の藤田投手は立ち上がりが悪く、それが控えに回った理由でもあった。試合前、千代純平監督に「最後を締めるのはお前だ」と言われても、「悔しかった」。

 いつもより長い投球練習で肩を温め、出番を待ったのは、「エースとしての投球を絶対してやる」との思いから。八回、千代監督から「絶対チームは逆転してくれる。次の打撃につながるピッチングをしてくれるか」と問われ、「やります」と即答した。

 「気持ちが高ぶっていたのが逆に良かった」と言う。力強く振り切った左腕から投げ込む直球と変化球にはキレがあった。九回も無失点。午後10時を過ぎて続行された十回、自身の暴投などで2点を失い、同点のピンチも背負った。それでも、鋭いスライダーを低めに決めて最後は2者連続三振。指揮官の期待通り勝利で試合を締め、マウンドで大きくほえた。

 「まだエースとは言われないが、徐々に近づいてきているかな」と藤田投手。激戦でつかんだ甲子園初勝利が、選手をたくましくしていく。(青山大起)

自分たちの力 最大限発揮を

 北川陽聖主将「『甲子園での勝利』という自分たちの目標が達成できて、本当にうれしい。次戦は、選抜大会を優勝した横浜が相手だが、自分たちの持っている力を最大限に発揮したい」

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