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龍と銀河 天井画奉納へ

「虚空奏龍」の下絵を手にするウィリアムズさん(大津市で)
「虚空奏龍」の下絵を手にするウィリアムズさん(大津市で)

大津在住・米国人画家 永源寺に

 東近江市の
古刹こさつ
、臨済宗永源寺派大本山・永源寺に今秋、琵琶湖などの風景画家として知られる大津市在住の米国人、ブライアン・ウィリアムズさん(74)が描く天井画が奉納される。龍をモチーフにした「
虚空奏龍こくうそうりゅう
」(直径4・2メートル)で、ウィリアムズさんは「無限に広がる宇宙(虚空)で、龍と銀河が奏で合う姿を表したい」と意欲をみせる。(林華代)

7月17日まで 制作賛同金募る

 ウィリアムズさんは1972年に世界一周旅行で日本に立ち寄った際、日本の風土に魅せられ移住。通訳、翻訳、銅版画などをしながら、京都市を拠点にして活動し、京都や兵庫の
茅葺かやぶ
きの家々や寺社、日本海などを描いてきた。

 重要な創作テーマでもある「龍」との出会いは京都市内で下宿していた72年頃。臨済宗各派の天龍寺、妙心寺(いずれも京都市右京区)、東福寺(京都市東山区)などの龍の絵に感銘を受けた。「私も描きたい」と下宿先のふすまに龍を描いてしまうほどだったという。

 大津市の比叡山延暦寺から見た広々とした琵琶湖の風景に一目ぼれし、84年に京都市から大津市の伊香立にある古民家を改修し、移り住んだ。以来、「琵琶湖は恋人」として、琵琶湖や内湖を描いた数々の作品を残してきた。

 今回、天井画を奉納する永源寺とは、過去にヨシ葺きの方丈(本堂)の紅葉などの絵を2枚描き、方丈のふすま絵の上に飾られるなど縁が深い。制作については、今年のえと「
たつ
」にちなみ、昨夏、47年前に描いた龍の下絵を持ち込んで、奉納を申し出て、決まった。

 龍については、日本では水や風を操る龍神として知られる一方で、西洋の龍は悪の象徴として描かれていたことなど、世界中で人々を引きつけているという。今回制作する虚空奏龍は、黒や銀色の銀河の中に龍が躍動する姿を描き、円形から、龍が玉を持つ手を突き抜けさせて、多次元宇宙を生みだしていく意味を込めた。

 ウィリアムズさんは「21世紀の雲龍図にふさわしく、(宇宙の膨張の変化などを調べる)宇宙望遠鏡などが開発された最先端の物理学と、仏教の教えを融合させたかった」と天井画に込めた思いを語る。

 絵を飾るのは境内にある
法堂はっとう
の天井。禅寺の法堂は、僧が仏に代わって仏法を説く場所とされ、仏法護持の神将として天井に龍が描かれるようになったとされる場合が多い。

 ウィリアムズさんは「自分が感銘を受けた京都の天龍名画に挑むのではなく、今の時代にふさわしい龍の姿を描きたい」と話す。

 制作費のため、賛同金を1口3万円から募っている。賛同者には、謝礼品として虚空奏龍の複製画(縦29センチ、横34センチ)を1口あたり1点送る。申し込みは7月17日まで。問い合わせはアルテズ(077・598・2590)。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE 龍と銀河 天井画奉納へ

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