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鮒ずし味わい方 世につれ 

琵琶博アンケート

 滋賀の伝統食「
ふな
ずし」を県民のほとんどが知っているが4分の1は食べたことがない――。県立琵琶湖博物館のアンケートでこんな結果が出た。約30年前の同様の調査と比べると食べたことがある割合が1割ほど減った反面、酒のあてとして個人で楽しむ傾向も。同館学芸員らは「社会儀礼や慣習の場で親しまれてきたが、時代に即して変わってきたようだ」と話す。6月1日午後1時半から同館で成果を発表する。(藤井浩)

食べたことある 76%

酒のあて 楽しむ傾向

滋賀を代表する伝統食「鮒ずし」(橋本学芸員提供)
滋賀を代表する伝統食「鮒ずし」(橋本学芸員提供)

 淡水魚に塩、米などをまぜて乳酸発酵させた近江のなれずしの中で、琵琶湖固有種のニゴロブナで作る「鮒ずし」はその代表格だ。今回のアンケートは「近江のナレズシ県民大調査」と題し、昨年11月~今年1月に実施。郵送やメールなどでアンケート用紙を送付し、県内在住で10歳以上の2128人の回答を分析した。

 鮒ずしを知っていると答えたのは2091人(98%)おり、うち食べたことがあるのは1590人(76%)だった。1993年に県職員らが行った同様の調査の結果(85%)より割合が低かった。

 年代別では10~20歳代は26~49%で、30歳代が80%となり、以降、緩やかに上昇して70歳代では97%に上った。地域別では、湖北、湖東の県民が92~87%と高く、湖南、甲賀地域では70%にとどまった。

 独特な味とかおりで好き嫌いが分かれる鮒ずしだが、食べた人の感想(複数回答)では933人が「おいしい」、259人が「風味がよい」と好意的だったが、736人が「価格が高い」のほか、「くさい」(491人)、「きらいだ」(112人)という回答も目立った。

 食べる機会としては「正月・祭りなどの特別な時」(40%)が最も多く、「酒を飲む時」(34%)「客が来た時」(19%)と続いた。中には「疲れた時や風邪気味の時」「腹を壊した時は薬より効く」との回答もあり、湖北地域では正月や祭りの時、湖南地域では酒の機会に食べるという割合が高かった。

 これまでに食べた回数については「5回以内」が43%と最多だった。93年の調査では「年に数回」が51%を占めていたが、今回、「年に4~5回程度」を選んだ人は26%と食べる回数が大幅に少なくなっていることをうかがわせた。

 ほか、アンケートでは「かつては亡父が大雨の際、
遡上そじょう
したフナを小川の仕掛けで捕ったが、開発で田んぼや小川がなくなり、今は買って漬けている」「湖北の年配女性たちが持つ鮒ずしを漬ける高い能力が受け継がれていない」などの意見もあった。

 調査を進めた同館フィールドレポーターの前田雅子さん(71)は「様々な発見があって楽しく、もっと深く知りたくなった。なれずし文化に少しでも関心を持ち、もりたてていく機会があれば」と振り返る。

 同館の橋本道範・専門学芸員(59)は「社会的な慣行を守りつつ、新たな需要を掘り起こしていく両面が必要だとあぶり出せた。意義深い調査だった」と総括した。

 問い合わせは同博物館(077・568・4811)。

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