追加料金なしで読売新聞オンラインのすべての記事が読めます!

集落の課題 解決へ支援員 

大津・葛川地域 郵便局員が担当

 過疎化や人口減少に悩む地域の活性化に向け、住民と一緒に課題解決などに取り組む集落支援員の活動が大津市の葛川地域で始まった。市が総務省の制度を活用して今年度から始めた事業の一環で、同地域では郵便局員が担当している。市企画調整課は「地域と市を結ぶ橋渡し役として、たくさんのアイデアを共有していくことができれば」と期待している。(角川哲朗)

住民と交流会 市に情報共有

葛川地域の住民と話し合う出雲さん(中央、大津市で)
葛川地域の住民と話し合う出雲さん(中央、大津市で)

 「最近調子どうですか」。市葛川市民センターで20日に行われた交流会で、葛川郵便局長の出雲裕史さん(55)が集まった約10人の住民に話しかけた。住民らは「あんたも元気そうなぁ」と笑顔で応じ、世間話に花を咲かせ、おにぎりやみそ汁、おはぎなどの軽食を食べながら、自由におしゃべりを楽しんだ。その間、出雲さんが「こんなことしてほしいとかないですか?」と合いの手を入れ、困りごとなどを聞き出していた。

 同センターは市北部の山あいにあり、出雲さんは葛川地域の集落支援員を務める。通常勤務の傍ら、地域の活動日や時間に合わせて空いた時間を見つけて活動を行う。この日が初めてだったが、出雲さんは葛川まちづくり協議会のメンバーとして昨年9月から月1回ほど住民らが集まる機会を設けるなどしており、地域住民からの信頼も厚く、様々な要望が飛び出した。

 同地域に35年ほど前に移住してきた飯島洋子さん(75)は「これまであまり話したことのない住民もいて交流が楽しい」と喜び、「地域の活気がだんだんなくなっていると感じているので、こういう機会を大切にして、要望も伝えていきたい」と話した。

 出雲さんは約25年前、子どもが生まれるのを機に京都市から同地域に移住。地域の活動に積極的に参加してきた。住民とふれ合う中で「子育てなどで色々助けられたので恩返しがしたい」と集落支援員に手を挙げた。「郵便局は引っ越しに関する手続きや、郵便物の受け取りなどで地域の人と交流をする場でもある。仕事をしながら地域の役に立てるのがうれしい」と語る。

 今後、少なくとも月1回以上のペースで意見交換の場や見回り活動などを進め、課題と解決策を探る。出雲さんは現在の課題として住民らの買い物の「足」がないことを挙げ、「カーシェアリングやデマンドタクシーの充実など、住民らの意見を聞きながら葛川での一番いいあり方を模索し、市にも意見を言っていきたい」と力を込める。市とは月1回、情報を共有することになっており、市は「実現できるところから取り組みを進めたい」とする。

 「住民の便利屋でもいい。自分も楽しみながらやっていきたい」と出雲さん。集落支援員としての挑戦は始まったばかりだ。

<集落支援員>
 総務省が2008年に始めた制度で、過疎地域などの集落の維持・活性化のため、地域の実情に詳しい人材が集落の巡回や状況把握、住民同士の話し合いの促進などを通して地域運営のサポートを行う。24年からは日本郵便が受託しており、同社による活動は大津市が全国2例目。

滋賀の最新ニュースと話題

[紹介元] YOMIURI ONLINE 集落の課題 解決へ支援員