観音堂内陣 特別公開 5日から
天台寺門宗総本山・三井寺(園城寺)の観音堂をはじめとする西国札所
の建造物5棟が8月に新たに国の重要文化財となり、重文指定を本尊に奉告する法要が4日、同寺で営まれた。5日から11月4日まで、観音堂内陣が特別公開される。(林華代)
観音堂は、日本最古とされる巡礼路「西国三十三所観音霊場」の第十四番札所として知られる。江戸中期に堂が焼失し、再建された。観音信仰の高まりで、江戸中期以降は全国からの参拝者が増え、増改築を重ねて広い法要空間を備えるようになった。
ほかに重文に指定されたのは、南院にある札所鐘楼、百体堂、観月舞台、絵馬堂の4棟で、いずれも江戸中期から末期の建造物となっている。高台に位置し、琵琶湖
や大津の街並み、湖面が望める。
この日は、観音堂本堂で本尊の秘仏・如意輪観音
(平安時代、重文)に指定を奉告する法要が行われ、約30人が出席した。内陣では5日から重文指定記念の特別公開が始まり、愛染明王坐像(同)と毘沙門天立像を間近で見ることができる。また、同時企画として、11月4日まで観音堂書院で開催する「観音信仰と三井寺」展では、8月に重文に指定された「
」の一部を初めて公開する。
元版一切経は、中国・元時代(14世紀)の仏教の経典2892
からなり、中国から朝鮮、日本へと渡った。15世紀前半、周防国(山口県東南部)で勢力を伸ばした大内氏によって朝鮮から日本へともたらされ、1602年に三井寺の復興に携わっていた毛利輝元が三井寺に寄進した。東アジアの文化交流、日本の仏教史を伝える貴重な遺産の一つとして注目されている。
また、企画展では、焼失した観音堂が再建された際の様子を描いた江戸中期の絵馬「観音堂落慶図」(縦約1・2メートル、横1・8メートル)も展示。板ぶきの屋根で餅まきの準備が行われる様子がうかがえ、福家俊彦長吏は「落慶から全国で勧進して、十数年かかって本瓦ぶきとなるなど、全国の人々の力を結集して観音堂を再建させていただいた。多くの人々の支えで今がある痕跡を知ってもらえれば」と話している。
内陣と企画展の拝観料金は500円(別途入山料が必要)。問い合わせは三井寺(077・522・2238)。