ドラフト楽天1位

23日に行われたプロ野球のドラフト(新人選手選択)会議で、東北楽天ゴールデンイーグルスに1位指名された県立水口高出身の花園大・藤原
投手(21)。高校も大学も、体調管理を第一に考えて「食事が大事」と三重県伊賀市の実家からの通学を選び、プロへの扉を開いた。(河村真司)
水口高出身 恩師「努力と闘志 今後も」
大学最終登板となった14日の佛教大戦(近江八幡市・カローラ滋賀はちまんスタジアム)には、巨人5人、阪神4人など、多くのスカウトがネット裏に詰めかけた。身長1メートル78、体重73キロの体を最大限生かして、球に力を伝えて投げ込む姿が目をひく。巨人の
伸介・スカウト部スカウトディレクターは「躍動感がある。球速が魅力」と、この日は最速155キロをマークした速球を長所に挙げた。
小学1年で野球を始めた。中学時代は甲賀市内の少年野球チームの一員として活躍。藤原投手は「チームの先輩もいるから」と水口高に進んだ。「JR貴生川駅まで父親の車で送ってもらい、そこから自転車です」と屈託なく語った。大学も約1時間半かけて京都市内まで通い続けた。
高校入学時は遊撃手。チーム事情で、一塁送球が力強かった藤原投手がマウンドに上がる機会が多くなった。3年の春、最後の夏の大会に向け、監督の種谷涼さん(現・県立守山北高監督)(32)とグラウンドの片隅で話し合った。種谷さんは「投手一本になると思うが、どうだ?との声かけに『投手で勝負します』という感じで答えてくれた」と振り返る。
「本人は遊撃手へのこだわりがあったはず。でも、(投手専念の)覚悟は2年の秋には芽生えていたと思う。一冬越して、下半身が安定していいボールを投げるようになっていた」。練習の成果か、球速は10キロ近く増し、143キロをマークした試合もあった。
今も連絡を取り合っている。リーグ戦が行われる守山市民球場(守山市)で、翌日の登板に備えての投球練習が球場でできないと知ると、「先生、グラウンド使わせてもらえますか?」と連絡が入り、守山北高のグラウンドで投げ込んだという。別の日にキャッチボールをした際には「ボールの回転の質がよくなっていた」と成長を実感したこともあった。
高校時代の練習ノートの表紙には、こう書かれていた。
「人事を尽くして天命を待つ」
有言実行の末に水口高、花園大初のプロ選手となる教え子に種谷さんは「長い年月をかけて頑張った成果。闘志を出して向かっていく投手なので、その良さを持ちながら、この後も結果につなげてほしい」と話した。