久末さん 国際音楽コン2位
県内関係者 喜びの声
世界3大音楽コンクールの一つ「エリザベート王妃国際音楽コンクール」(ピアノ部門)で、2位に入った大津市出身の久末航さん(30)の快挙に、若き才能を応援してきた県内の関係者も喜びに沸いた。久末さんも「心からうれしく光栄に感じている。かけがえのない経験を積むことができたことに心からの感謝の気持ちでいっぱいです。人の気持ちに届く音楽を志していきたい」とコメントを寄せた。(林華代)
久末さんは音楽好きの両親の影響もあって5歳でピアノを始め、県立膳所高(大津市)卒業後、独フライブルク音楽大に留学。2017年に世界的に権威のあるミュンヘン国際音楽コンクールピアノ部門で3位に輝くなど、新進気鋭のピアニストとして注目を集めていた。
しがぎん経済文化センター(大津市)によると、エリザベート王妃国際音楽コンクールは18~30歳の若手ピアニストが世界で活躍するために挑戦する登竜門で、久末さんは最後の挑戦だった。特定の作曲家を冠していないのが特徴という。
ファイナルは、ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団とともに演奏する課題曲と、自由選択の協奏曲の2曲で評価される。ブラームスのピアノ協奏曲2番を選んだ久末さんの演奏について、同管弦楽団で指揮を執った大野和士さんは「曲の構成の堅固さ、雄大さを素晴らしく表現していた」と絶賛。「新しい時代をリードするピアニストが生まれた」と期待を寄せた。
幼少期から、湖国でその才能を注目されてきた久末さん。07年には、小学6年でオーディションを勝ち抜き、びわ湖ホール(大津市)で京都市交響楽団と共演。中学2年で、初のソロリサイタルを開き、10年には高校生で同ホールの音楽祭にも出演した。
13年度には平和堂財団(彦根市)の芸術奨励賞を受賞し、15年9月~17年8月には独留学の助成を受けた。18年からはしがぎん経済文化センターの企画でブラームスのピアノ・ソナタ全曲演奏を3年がかりで実施し、今年3月にしがぎんホール(大津市)で開かれたショパンをテーマにしたフェスティバルにも登場した。
久末さんは秋以降に県内で公演する予定があり、関係者はふるさとへの
を心待ちにしている。
三日月知事は「入賞は快挙。繊細でありながらも、ダイナミックな演奏を通じて人々を魅了し続ける久末さんは県民の誇り」とたたえた。
母校の膳所高では卒業生の快挙に横断幕の掲出を検討。10月24日には久末さんを招き、在校生や保護者を対象にした「芸術鑑賞会」をびわ湖ホールで企画する。高校生時代を知る平井拓磨教頭は「文化祭や音楽の授業でピアノの演奏を披露してくれる気さくな性格で、勉強とも両立していた。プロの演奏で、在校生の心を揺さぶってほしい」と期待する。
市民が聴ける機会としては、12月13日に大津ロータリークラブが創立75周年記念として企画する「ガラ・コンサート」があるほか、同31日のびわ湖ホール主催「ジルベスター・コンサート2025」に出演する予定という。