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聴導犬 絵本で知って

聴導犬ポッキー(左)の活躍を描いた絵本を出版した五十嵐さん(右)と酒井さん(大津市で)
聴導犬ポッキー(左)の活躍を描いた絵本を出版した五十嵐さん(右)と酒井さん(大津市で)

守山の女性 経験基に出版

 音を聞き分けて、耳の不自由な人に伝える聴導犬と生活する守山市在住の五十嵐恵子さん(61)が、自らの経験を基にした絵本「聴導犬ポッキー~いつもいっしょ~」(サンライズ出版)を出版した。五十嵐さんは「本を通してさまざまな世代の人に、聴導犬の仕事について理解してもらえたら」と話している。(角川哲朗)

相棒・ポッキー 音伝える仕事 描く

 五十嵐さんは神戸市生まれ。2歳の頃、高熱を出した時に使用した薬の副作用で聴力を失ったという。1995年、家族の仕事の都合で県内に転居後、盲ろう者向け通訳・介助員の資格を取得。守山市の障害者福祉施設で支援員として勤務している。

 後に相棒となる雄のトイプードル・ポッキーとの出会いは2010年。県聴導犬育成事業の一環で、勤務する福祉施設にやってきた当時1歳のポッキーの愛らしい姿にひとめぼれした。

ポッキーとけいちゃん(五十嵐さん)の日常を描いた絵本の一場面
ポッキーとけいちゃん(五十嵐さん)の日常を描いた絵本の一場面

 「聴導犬として育て、一緒に生活したい」と、厚生労働省指定の法人が実施する聴導犬認定試験を受けることを決意。施設から「貸与」という形で一緒に住み始めた。玄関の呼び鈴や電話、タイマーなど様々な音を聞き分ける訓練を重ね、18年に合格。晴れて聴導犬・ポッキーとの生活が始まった。

 しかし、聴導犬に対する世間の認知度はまだまだ低く、「仕事中」と書かれたビブスをつけていても飲食店に入店を断られることもしばしば。そこで、大人も子どもも楽しみながら広く理解してもらおうと、21年8月に絵本の制作を企画したという。制作にあたって、イラストは知人で手話通訳士の栗東市の酒井幸代さん(64)が手がけ、2人で相談をしながらストーリーを考えた。

 絵本では、ポッキーが耳の聞こえないけいちゃん(五十嵐さん)と訓練する様子や、町の中でいろんな音を聞き分けてけいちゃんに知らせる仕事の様子を紹介。現実と同じように屋外ではリードを着けた姿を描くなど、正確に表現することを心がけた一方、子どもに興味を持ってもらうため、かわいく、カラフルに仕上げた。

 五十嵐さんは「町の中で車の音や人の声など、当たり前に聞こえる音が聞こえない人もいる。それに気づいてもらえれば」と話し、「生活を支えてくれたポッキーにも恩返しができたかな」と笑顔を見せた。

 絵本はA4判変型、36ページ。税込み2200円。県内の主な書店やネットで購入できる。問い合わせは同出版(0749・22・0627)。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE 聴導犬 絵本で知って

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