15年超未利用
企業研究施設など整備
米原市と県は6日、米原駅東口周辺の市有地と県有地計約2・8ヘクタールに、企業の研究施設やショールーム、分譲マンションなどを整備する開発計画を発表した。公募で「湖北工業」(長浜市)など企業5社のグループの提案を採用した。新幹線駅の目の前という好立地を生かせず、15年以上未利用のままだったが、ようやく活用のめどがついた。近く土地の譲渡契約を結び、3年後の完成を目指す。
(立花宏司、角川哲朗)
元々は旧国鉄の土地で、駅東口に近接する市有地(約1万3900平方メートル)の南側に県有地(約1万3700平方メートル)が並んでいる。駅周辺の活性化につながる中核施設の整備を見据え、県と市が取得。土地区画整理事業で造成や土壌汚染対策工事などを行っていた。
開発計画の決定までには曲折があった。市によると、土地は2008年には今の形に整備され、市は同年と12年にまちづくり事業の提案を募ったが、08年は中止、12年は不採択に。17年には民間事業者が「公民連携によるまちづくり」を県と市に提言。土地を一体開発することになった。
19年には事業者などでつくる協議会がまちづくりの基本計画を発表したが、これも実現しなかった。22年には、新設される県立高等専門学校の建設候補地として県に提案したが選ばれず、「街の顔」になるはずの場所が、長らく空き地のままになっていた。
今回の公募には2グループが応じ、湖北工業のグループだけが提案書を提出。有識者でつくる委員会で5月から提案内容を審査し、県と市が優先交渉権者に決定した。
南側のエリアには湖北工業が研究施設を設け、中央のエリアには地元のアウトドアブランド「ナンガ」のショールームや分譲マンション(56戸)、コンビニエンスストアなどの商業施設を整備。北側にはIT企業の研究開発施設が進出する。約600人が就業し、年間の交流人口は1万人に及ぶという。
市役所で記者会見した平尾道雄市長は「この土地を使って、新たな地域振興を始める扉が開いたと考えている」と述べた。