
今秋から試験運用
過疎地域の利便性向上
米原市は11月から、高齢者が多い過疎地域を中心に、市職員がワゴン車で出向いて行政サービスを提供する「移動市役所」を、県内の自治体で初めて試験的に始める。市職員が乗車したワゴン車で住民票の発行のほか、将来的には移動スーパーの同行など、運転免許証を返納した高齢者らへの利便性を高める。(清家俊生)
市では、2016年10月からコンビニエンスストアで各種証明書を発行するサービスを始めたが、山間部では身近にコンビニがない地域も多い。また2月現在の市内の高齢化率は30・8%で、今後も高齢化が進むことが想定されている。茨城県笠間市や愛媛県今治市で全国で先行して実施しており、米原市が導入を検討していた。

ワゴン車には市職員2人が乗車。後部座席を改良し、パソコンやテレビ会議システム、証明書交付機器などを搭載し、利用者がタッチパネルで操作すると、住民票や印鑑登録証明書などが発行される。市民が持ち込んだ書面を取り込めるカメラも設置し、オンラインで本庁舎の職員が記入方法などをアドバイスすることができるという。
市は民間企業にも協力を依頼し、行政サービスだけでなく、買い物や金融相談などの利便性も高める計画。将来的には、移動市役所に合わせて移動スーパーやキッチンカーが一緒に動いたり、金融機関の職員が同行し金融・年金相談などに応じたりするサービスを目指しているという。
試験導入では、平日の午前、午後にそれぞれ1地域、週10か所を巡回する方針。移動市役所開設に伴い、車両整備費など2450万円を25年度当初予算に計上する。11月からの運用で課題を洗い出した後、26年4月から本格運用を目指す。
角田航也市長は「山間部の伊吹地域などから市役所まで車で30分ほどかかるが、導入されれば移動時間はなくなる。移動市役所でより近い行政を実感してもらいたい」と話している。