大津市、観光協 学芸員案内ツアー
NHK大河ドラマ「光る君へ」と縁が深い大津市の石山寺で、周辺に残された貝塚や境内の石切り場跡など、知られていないスポットをPRするため、市とびわ湖大津観光協会は、市文化財保護課の学芸員が案内するツアーを初めて開催した。同市は京都、奈良市に次いで全国3番目に国の指定文化財が多いものの知名度は低く、専門知識を持つ学芸員の深掘り解説で、県内外の観光客に魅力を伝える狙いがある。(林華代)
境内の石切り場跡や多宝塔
ツアーは15日に行われ、県内のほか大阪、京都、兵庫、三重4府県から歴史ファン30人が参加した。
一行は境内にある「古代の石切り場跡」を見学。田中久雄主任(考古学)が、寺のシンボルの一つでもある天然記念物の
について、「白く、境内でも露出しているのでよく見てください。昔から光る石がある特別な場所とされていました」と話し、切り出される途中の石や切り出された跡があることも説明した。
さらに「天智天皇が母・斉明天皇の
を弔うために建立したとされる川原寺(奈良県明日香村)の礎石に使われたことがわかっています」とし、瀬田川を下り、奈良まで石が運ばれたとされる経路も説明した。
建造物を専門とする千葉貴吏技師は本堂、多宝塔(いずれも国宝)を紹介。多宝塔前では、内部の柱に描かれた絵や、
の上にある快慶作の大日如来
がいずれも重要文化財であることに触れ、「多宝塔は文化財の塊です」とPRした。
田中主任は寺観光駐車場の下に埋まっている縄文時代の貝塚について紹介。石山寺観光案内所にはそのはぎ取り断面が展示され、田中主任は「京都の平安学園考古学クラブが確認した成果で、貴重なもの。貝は、今のセタシジミよりも大きいですよ」と説明すると、一行は興味深そうに見入っていた。
参加した京都市北区の主婦(68)は「大河ドラマをきっかけに、石山寺に興味を持ち参加した。専門的な学芸員さんにすぐ質問できて、答えをくださるのでとても面白い」と喜んでいた。
市文化財保護課は今回の参加者にアンケート調査を実施。結果をもとに次回のツアー開催も検討していくという。