昨年度公立校 いじめ認知1万1890件も
多様な学び 広がる
文部科学省の「問題行動・不登校調査」で、県内では2023年度、公立小中学校の不登校が計3991人に及び、過去最多となった。いじめの認知件数が前年度から174件増の計1万1890件、心身への被害や長期欠席などを含む「重大事態」も7件増の20件で、いずれも過去最多だった。
調査は毎年行われ、県内では全ての公立小、中学校、義務教育学校、高校、特別支援学校の約380校が対象。
不登校は、病気や経済的理由などを除き年間30日以上登校していない状態で、小学校では前年度比297人増の1562人、中学校は309人増の2429人といずれも増加。高校は16人減の786人だった。
県教育委員会は、コロナ禍を経て登校意欲が低下したことや、学校以外での多様な学びを認める教育機会確保法の施行で、保護者にも「無理に行かなくてもいい」との意識が広まったことが背景にあるとみている。
対策として、校内の教室以外の居場所「スペシャルサポートルーム(SSR)」を活用したり、授業をオンラインで配信したりしている。専門職の配置も進めており、今年度はスクールカウンセラー4人、スクールソーシャルワーカー3人を増員したが、不登校の児童・生徒の3割以上が専門職や機関につながっておらず、課題となっている。
県教委児童生徒室は「専門職が家庭に出向いて一緒に支援計画を立てるなど『アウトリーチ』に注力し、市町の福祉部門につなぐなど支援を強化していく」としている。
いじめの認知件数は小学校で8873件(前年度比23件減)、中学校2786件(同215件増)、高校200件(同15件増)、特別支援学校が31件(同33件減)だった。内容はどの校種でも「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最多で4~6割に上った。
県教委は「ささいな事案にも教員が早期に対応した成果」とみる。重大事態の20件では、学校がいじめの兆候を見逃したり、教員が1人で抱え込んだりしたケースがあり、若手教員への研修や、第三者による学校のいじめ対策の検証に注力する。