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学校の改善点 AIが分析 立命館守山高

 

 立命館守山高(守山市)の生徒会が、デジタル技術を用いて生徒の意見を集め、より良い学校づくりに生かそうとしている。幅広い意見をどうくみ取るかは、政治の世界にとどまらず、生徒会にとっても重要なテーマ。12日から始まる生徒会役員の選挙に合わせ、ウェブで募った学校の改善すべき点をAI(人工知能)で分類して公開し、関心を高めようとしている。(矢野彰)

 横浜市のスタートアップ(新興企業)が開発した、意見集約や合意形成を図るウェブ上のプラットフォーム「Liqlid(リクリッド)」を活用。投稿された意見をAIが論点ごとに分類して、数も集計してグラフ化される。また、言葉の使用頻度を文字の大小で表現するようになっており、視覚的に傾向をつかむこともできる。

 同高の生徒会は、選挙で選ばれた会長ら役員5人が、校則の見直しなど学校運営の改善に取り組んでいる。生徒の意見はアンケートで集めているが、1000人近い在校生の多様な声を詳しく分析するのは大変で、ポスターで生徒会活動を紹介してもあまり注目されなかったという。生徒会長の米田圭吾さん(18)は「意見に目を通すだけになりがちで、生徒の代表として意見を反映した活動ができているか、実感を持ちにくかった」と振り返る。

 生徒会の役員が、自治体などでリクリッドが活用されているのを知り、開発企業の最高経営責任者(CEO)栗本拓幸さんに協力を求めた。栗本さんは、高校時代に生徒会活動に関わった経験があり、「民主主義への参加のハードルはデジタル技術で下げられる」が持論で、生徒会にはリクリッドの使い方などを数回にわたってアドバイス。生徒会の役員も「使ってみたい」として選挙で活用することにした。

 11月から学校生活の改善点を募集すると、今月8日までに約300件の投稿があった。AIが分類した最大の争点はバス問題。通学バスの順番待ちの列での割り込み対策を求める声が多かった。食堂・購買の行列の緩和への関心も高く、教室の机や椅子など設備の充実や、登下校時にスカートと防寒着の重ねばきを認めるよう求める意見もあった。

 生徒会選挙は12、15、16日に電子投票システムを用いて行う。学年ごとに投票所を設け、投票するかは生徒の任意。生徒会では、目に触れやすい校舎玄関のデジタルサイネージ(電子看板)に集まった意見や立候補者のインタビューを表示し、投票率アップを図っている。

 副会長の山瀬心遥さん(18)は「他の人の意見を目にすれば、当事者意識を持つきっかけになる」、役員の渡辺幸大朗さん(18)も「意見が可視化できれば、自分事の問題も皆で解決が図れるようになる」と期待している。

民意把握もデジタル導入
 

 行政施策に市民の声を反映するのに、デジタルツールを導入する自治体が増えている。

 京都市は、市総合計画の見直しにあたって、リクリッドを活用。公立学校にも呼びかけ、1万2000件超の意見が寄せられた。その後に実施したパブリックコメント(意見公募)の約8倍に及んだという。

 大阪府は、SNS上の意見を収集・分析して民意を把握する手法「ブロードリスニング」の実証実験で、デジタル化すれば便利だと思うサービスについて意見を募っている。県内では、甲賀市がリクリッドを使っている。

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