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子の悩み 耳と心傾ける 大津のNPO

 子ども食堂や食育などを通じて、子どもたちを支える活動をしている大津市のNPO法人「CASN(カズン)」が、若者向けの電話相談を20年以上継続している。理事長の谷口久美子さんは「『思いの丈を話せた』と思える体験をしてもらいたい」と語る。(小手川湖子)

 同NPOは2003年、18歳以下を対象にした性の悩みや家庭、学校の悩みを聞く「しがチャイルドライン」(0120・99・7777)を開設。毎日午後4~9時に受け付けている全国共通の番号だが、同NPOでは第1火曜日と毎週金曜日に、スタッフら15人が交代で相談に応じている。

子の悩み 耳と心傾ける 大津のNPO
「しがチャイルドライン」のカードとCASNのメンバーが手作りした専用封筒。県内の小中学校などで配布している(大津市で)

 時間になると、「死にたい」「学校に行けていない」「いじめられている」といった電話がかかってくる。チャイルドライン支援センター(東京都)によると、チャイルドラインは41都道府県で70団体が実施しているが、県内では同NPOのみ。チャットを導入する団体も増えている中で、同NPOではフリーダイヤルのみで受け付けている。谷口さんは「電話を取ると、最初から泣いている子や、『あの……』と切り出してから、ずっと言葉が途切れている子がいる。声のトーンや調子、息づかいで分かることを感じ取りたい」とその真意を明かす。

 24年の着信件数は例年並みの4058件。うち、相談中の着信などで電話に出られなかったケースが2948件と7割強を占めた。同NPOの電話回線は2回線で、谷口さんは「回線が足りていない」と漏らす。

 同NPOでは、チャイルドラインの継続のため、寄付への協力を呼びかけている。集まった資金は、事務所や電話回線の維持費に充てる。郵便振替口座「社会福祉法人滋賀県共同募金会」(01070・4・299、通信欄に「④ NPO法人CASN」と記入)で受けつけている。

 また、今月7日には、チャイルドラインや貧困家庭の子どもについて多くの人に知ってもらおうと、県とともに県庁で「子どもたちの“今”を知る公開講座」を開く。午前10時から、弁護士や貧困問題に詳しい新聞記者らが講師を務める。定員は30人程度で、参加無料。申し込み、問い合わせは同NPOにファクス(077・537・5922)またはメール(info@casn.org)で。

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