
「湖北から、カワイイとワクワクをお届けします」――。田んぼに囲まれた自宅をアトリエに、レースをふんだんに使った赤色やピンク色の洋服に身を包んだファッションクリエイターが長浜市木之本町にいる。「滋賀だから、田舎だから、と夢や挑戦をあきらめなくていい」と発信している。(小手川湖子)
amamiこと金谷愛真美さん(29)。ブランド名は「8・2」(はちてんに)で、人が何かを好きになるまでの平均時間は8・2秒という法則から、「ひとめぼれするように」と名付けた。
ワンピースや帽子、カバンなどの衣服からアクセサリーや巾着などの小物まで、「布で作れるものならなんでも」制作している。
作品は全て1点もの。「カワイイ」の直感に忠実に、少しずつ購入した布を使って制作する。型紙は胴と襟の部分のみで、袖やスカートなどはそのときの気分でフリーハンドで描く。サイズは全てフリーで、一般的なXLサイズほどだ。機能性も考え、ほぼ全てにポケットがついている。
フリルやレースをたっぷり使ったワンピースに、スカートの下にはいてボリュームを出すパニエを合わせて、ロリータファッションのように着飾ることもできるし、オーバーサイズを生かしてスニーカーやキャップと合わせてカジュアルに仕上げることもできる。
服飾専門学校を卒業後、古着をリメイクするアパレル会社に就職したが、ほどなく退職。アルバイト生活を送っていた。
地元・木之本は「かわいい服のない田舎」だった。幼い頃は、衣料品チェーン店しか服を買えるところがなかった。創作が好きで「いつか自分のブランドが持ちたい」と高校ではデザインを学んだが、当時は「ファッションやデザインの仕事は都会に出ないとできない」と思い込んでいた。
「このままでは夢は『いつか』で終わってしまう」と2020年、販売のやり方やサイトの作り方も知らないままSNSアカウントを開いた。8・2の活動を始めた。
「周囲の助けもあった。そのとき『やりたい』という思いで行動した。『いつか』で終わらせる人が多いけど、一歩踏み出してほしい」とエールを送る。
印象的だった客がいる。イベントに来た50~60歳代の女性。「ずっとフリフリの服を着てみたかった」と話す女性に、「着たもん勝ちですよ!」と背中を押した。女性はワンピースを購入し着てくれた。後日、「みんなに褒められる」とうれしそうに教えてくれた。
金谷さんは「『好き』は表に出していいはず」と語る。8・2に興味を持ってくれた人の中でも「大人だから」「もうちょっと若かったら着てた」と、好きなことを楽しめていない人を見てきた。「私は田舎でもこんな格好。場所とか関係なく楽しんでほしい」と笑う。
今後の目標は8・2の世界観を様々な方法で伝えること。好きなものをあきらめなくていい、挑戦のきっかけを作りたい。その思いを服だけでなく、舞台や曲などを通して伝えたい。
9月には、ブランドソング「ひとめぼれ」を友人と制作し、配信した。「誰かの『好きだった』にそっとあかりがつく場所」との歌詞に、思いが込められている。
販売や出店の予定はインスタグラム(@8.2hatitenni)で確認できる。
28日から、大阪市北区の阪急うめだ本店で行われるロリータの期間限定ショップに参加する。金谷さんは9月に制作した服などを販売する。販売している服をレンタルしての写真撮影体験もある(要予約、5500円)。
出典:読売新聞オンライン
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