2月 近江八幡にプレオープン
キリスト教伝道のために来日した米国出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880~1964年)ゆかりの料理を楽しめるカフェが今月、近江八幡市池田町の「ウォーターハウス記念館」にプレオープンする。2日で同市に来てから120年。ヴォーリズ建築を利活用する取り組みで、カフェの運営者は「実際に訪れ、ヴォーリズのことを広く知ってほしい」と話している。(中村総一郎)
建築利活用 サンドイッチなど
カフェの名は「喫茶室 メレルの庭」で、ランチはローストポーク、キュウリとハムのサンドイッチ、イワシのサンドイッチ、ナッツサラダ、ニンジンスープがセット(税込み1980円)になっている。チーズケーキかニンジンケーキに加えて、クッキー、サイダー
、コーヒーまたは紅茶を提供するケーキセット(同1540円)もある。
メニューの多くはヴォーリズの伝道活動を支えた吉田悦蔵の妻、
らが残したレシピをもとに再現したもの。記念館は1913年の建築で、ヴォーリズと一緒に伝道に奔走した米国人のポール・ウォーターハウス一家が6年間住み、ベッシー夫人は清野とともに西洋料理の教室を開いていたという。
清野は33年、料理や和洋裁、英語を女性に教える「近江家政塾」を設立。塾は記念館隣の吉田夫妻の自宅近くにあり、考案した料理を塾生に教えた。レシピは当時、ヴォーリズが創刊した伝道雑誌「湖畔の声」に掲載された。
今も通用するメニューが当時の近江八幡にあったなんて――。レシピの存在を知った料理研究家の
和世さん(77)(近江八幡市)らがメニューを再現。2023年7~12月に記念館で月1回、ランチとして提供していた。
今回のカフェは、記念館を宿泊施設として運営する「近江八幡まちや倶楽部」(同)が「上さんらの活動を継承したい」と受け継いだ。今月は18、19日、3月は6、7、12、13日に営業し、4月以降は日数を増やす。
上さんは約1年をかけてカフェの料理担当にレシピを伝授したといい、「清野が残したレシピを引き継ぐことができてホッとした」と喜んでいる。同倶楽部代表の宮村利典さん(48)は「ヴォーリズや吉田悦蔵らが生み出したコミュニティーのように、多くの人が集まる庭のようなカフェになれば」と話している。
問い合わせ、予約は同倶楽部(0748・32・4654)。