耕作放棄地で栽培 商品化へ
東近江市池庄町の食用花専門農園「87farm(ハナファーム)」が、耕作放棄地で栽培した食用バラを使ったジェラートの開発に乗り出す。完成したジェラートは農園やイベント、ネットで販売するほか、カフェなどにも提供する計画で、農園代表の増田健多さん(36)は「耕作放棄地や農業の担い手不足の解決につながる地元の特産品にしたい」と意気込んでいる。(中村総一郎)
東近江の増田さんCF
増田さんは愛知県の建築系商社や花苗生産卸会社の会社員を経て、2015年に故郷の東近江市に地域おこし協力隊としてUターン。JR能登川駅前の商店街の空き店舗を活用し、植物と食をテーマにしたカフェをオープンした。18年からは、実家の園芸店の一角でビオラやコーンフラワーなど年間15種類の食用花を栽培する農園を運営している。
耕作放棄地は、増田さんの祖父母が家庭菜園として使ったあと20年以上放置されていた同市内の約600平方メートル。単価が高く比較的手間がかからない食用バラの栽培を思いつき、昨春、クラウドファンディング(CF)で集めた資金で購入した約160本の苗木を植えた。
今年は、市内に多くある耕作放棄地を活用し利益を生むビジネスモデルを構築しようと、食用バラを使った商品開発を決意。多少不ぞろいでも利用でき、老若男女に人気のジェラートに目を付け、特産品として売り出す計画をたてた。
材料には、香りが強い品種の「
」を選んだ。バラを漬け込んだ県産牛乳を使って、ほのかな甘い香りがするジェラートをつくり、花びらをトッピングして仕上げる。すでに試作を始めており、5月中の販売開始を目指す。
ジェラート製造機や「豊華」の苗木100本の費用などの資金20万円はCFで募り、専用サイト「キャンプファイヤー」(https://camp-fire.jp/projects/746755/backers/guests/new)で30日まで受け付けている。返礼品には完成したジェラートなどを用意した。
増田さんは「地域課題を解決しながら農業が事業として成り立つことを示したい」と力を込める。