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カヤック水難 学生「死ぬかと思った」

3艇転覆 5人投げ出される

 大津市の琵琶湖で9日、カヤックのびわこ成蹊スポーツ大の学生グループ約30人が一時行方不明になった水難事故で、当時強風による波を受け、カヤック3艇が転覆、5人が湖面に投げ出されていたことが、大津北署の調べで分かった。自力で岸にたどり着いた学生は同署に対し、「死ぬかと思った」などと話していたという。県警は惨事につながりかねなかったとし、「気象情報を確認し、安全に航行してほしい」と注意を呼びかけている。(青山大起、東川直央)

学生らが出航した艇庫近くの湖岸。風が吹き、波が立っていた(10日、大津市で)
学生らが出航した艇庫近くの湖岸。風が吹き、波が立っていた(10日、大津市で)

 同署などによると、同大学サッカー部の活動として、学生44人とコーチら計50人が参加していた。大津市北比良の大学近くの艇庫から1人乗りカヤック30艇、2人乗り10艇に分乗し、9日午後2時半頃に出航。北へ約8キロ離れた白鬚神社(高島市)を折り返し、同5時30分~6時に戻る予定だった。

 しかし白鬚神社に午後4時~4時半頃に到着し、折り返して南下する途中で強風が吹いて波が高くなり、航行が困難に。午後6時15分頃、同神社南2・5キロの湖岸で目撃した男性から「日没になるのに20人ぐらいがカヤックで航行している。危険だ」と110番が入った。この日の琵琶湖の日没は6時12分で、湖上は暗くなり始めていた。

 大津北署によると、この頃、約30人のカヤックがグループから遅れたり、離れたりし、一時行方不明になっていたとみられる。大津市の北小松漁港沖で1人乗り1艇と2人乗り2艇の計3艇が転覆。湖面に投げ出された5人は泳いで岸までたどり着いた。湖岸で捜索していた同署員に学生らは「風が強く、波が高かった」「死ぬかと思った」と話したという。

 他のカヤックも自力で北小松漁港や湖岸にたどり着き、午後8時までには全員の無事が確認された。全員ライフジャケットを着ており、けが人や体調不良者はいなかった。

 琵琶湖でカヌーツアーを行っている会社の代表は「琵琶湖は急に強風が吹くことが多く、風向きもバラバラ。初心者なら、こいでも進まない」とし、「暗い中での航行はさらに危険。方向が分からなくなり、他の船舶と衝突する恐れもある。なぜ日没時に航行していたのか」と疑問を呈した。

 今回計画されたコースは往復約16キロあり、「ツアーでは2キロを2時間かけて航行している。学生にどのくらいの知識や体力があったのだろうか」と話した。

 間野義之学長は「皆様には大変ご心配、ご迷惑をおかけし、心よりお

び申し上げます」とホームページ上でコメントを発表し、読売新聞の取材に同大学企画広報課は「事実確認などに時間を要しており、詳細は現時点で答えられない」としている。

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