緊急情報や日々の話題 甲賀ほぼ全域で
甲賀市のコミュニティーFMラジオ局「エフエム花」(周波数77・5メガ・ヘルツ)が、同市信楽町に送信アンテナを新たに設置し、今月1日から同町内でもクリアな音質で聴取できるようになった。高齢者の迷い人が出た際には緊急情報として広く呼びかけるなど、市民の安全を守りつつ新たなつながりも生み出しており、リスナーからは「一日中、周波数を合わせっぱなし」との声も届いているという。(河村真司)

2011年の東日本大震災をきっかけに、地元に密着したコミュニティーFMの持つ力を実感した同市水口町の中村一弘さん(60)が、生花店を営みながら構想に5年かけて23年9月18日に開局。当初、山間部で電波が届きにくい信楽町は聴取エリアから外れており、「まず開局を優先した」と振り返る。
庚申山にある展望台に設けたアンテナからは、市内の水口、甲賀、甲南、土山各町に加え、湖南市、竜王町、日野町がエリアに入る。電波条件が良ければ彦根や長浜、高島の各市でも聴けるという。

中村さんは、24年1月に起きた能登半島地震で「全市に電波を届けないとダメ」と痛感。国などの補助金を活用し、二つ目となるアンテナ設置を急いだ。「甲賀市は災害が少ない土地柄だが、何が起きるかわからない。防災面でラジオは非常に大事なツール」と、市内ほぼ全域のカバー体制が整ったことを喜ぶ。
ディスクジョッキー(DJ)は地元住民ら約20人が交代で平日は朝(午前7~8時)、昼(正午~午後1時半または2時)、夕方(午後5時半~7時)の時間帯に生放送を届けている。その日のテーマに沿った話題や、リスナーからのメッセージをもとにマイクを通して語りかけ、その他の時間帯は音楽をかけっぱなしにするなどしているという。
DJは全員が未経験。中村さんの高校時代の1年後輩というカミムさん(59)は、金曜昼などを担当し「生放送でリスナーから反応があるのが楽しい。つながりがリアルに感じられる」と笑顔で語り、緊急情報は「ラジオの役割の一つだと思う」と強調する。
開局以来、5件ほどの迷い人緊急情報を電波に乗せて送り、ほとんどが保護につながった。中村さんは「生放送時以外でも、必要ならすぐにスイッチを入れて呼びかけられる」と即応性の高さをアピール。「エフエム花に元気づけられると、直接言ってもらえる」とリスナーの存在が原動力になっているという。
今後は市役所や地域市民センター前などでのイベント時に現地から生放送を行い、認知度を上げるのが目標で「市内の皆さんにもっと知ってもらいたい」と話す。コンテナを改装したスタジオから届けられる〈ラジオの時間〉は、コミュニティーツールとして大きな可能性を秘めている。
