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「青磁」神農さん 人間国宝に<文化審答申>

生命の根源・祈りテーマ 制作

独自の技法を用いた作品が高い評価を得ている神農さん(大津市で)
独自の技法を用いた作品が高い評価を得ている神農さん(大津市で)
「生命の根源」をテーマに神農さんが制作した「青磁堆磁線文壺」=(c)山崎兼慈
「生命の根源」をテーマに神農さんが制作した「青磁堆磁線文壺」=(c)山崎兼慈

 国の文化審議会が19日に行った答申で、県内からは「青磁」の重要無形文化財保持者(人間国宝)に陶芸家の
神農巌しんのういわお
さん(67)(大津市)が認定される見通しとなった。「生命の根源」や「祈り」をテーマに、独自の技法で作り出した壺や鉢、香炉などで知られる。認定されれば県内の人間国宝は3人目となる。(名和川徹)

 神農さんは京都府福知山市出身で綾部市育ち。大学卒業後、京都市内の陶工職業訓練校などで技術を学び、製陶所で修業を重ねた。30歳で琵琶湖に臨む大津市の高台に窯を構え、独立。「工房から見える湖の
みどり
や、空の青が青磁の色と重なる」と語る。

 生命の根源となる水や女性、植物の種子などが制作のモチーフで、祈る人の合わせる手の形をイメージした作品もある。「40万年もの歴史を持ち、あらゆる生命を連綿とつないできた」と語る琵琶湖から感じられる「生命の根源」「祈り」を作品の大きなテーマに掲げている。

 また、制作では原料となる磁土を
轆轤ろくろ
などで成形した器に、同じ磁土をどろどろの状態にした
泥漿でいしょう
を、筆で数十回は塗り重ねる「
堆磁ついじ
」という40歳代で独自に考案、命名した技法を導入。器の表面にカーブを描く堆磁による立体的な線文で水の波紋やDNAのらせん構造などを表現している。

 堆磁技法を用いた作品は、日本伝統工芸展で優秀賞を2度受賞するなど、高い評価を得、2012年に紫綬褒章を受章、13年には県指定無形文化財「青磁」保持者にも認定された。

 答申の知らせに、「青磁に心を揺さぶられ、ひたすらに志してきた。光栄に思うが、その重責に身の引き締まる思い」と語り、「より自分らしい作品を作り、(ルーツとなる)朝鮮半島や中国大陸、そして世界の人々に見ていただけたら」と笑顔を見せた。

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