
契約した人が「棚主」となり、自由に本や雑貨を売ったり貸したりできる「シェア型」の図書館や書店が県内でもじわりと広がり始めている。各施設に共通するのは、それぞれの枠を超え、地域住民らが集まる場所となっていることだ。(田中志歩)
社会福祉法人・慈恵会が運営する「地域交流ホームゆい」(守山市笠原町)は今月4日、誰もが本棚のオーナーになれ、本を貸し出せる図書館「みかん」をオープンした。
みんなで育てる「未完」の図書館として、「みかん」と名付けた。本棚は16区画で、4分の1~1区画を月額250~1000円で借りられ、気に入った本を並べ、貸し出すことができる。
ゆいは地域の交流拠点で、学生や住民、高齢者らが利用する。図書館を設置することで、近くの県立守山北高、立命館守山中・高の生徒たちと、本を通した対話、地域への情報発信を目指している。慈恵会が運営する就労継続支援B型事業所「ワークゆい」の利用者らが本棚を管理する。
地域交流ホームゆいは、軽費老人ホームにも隣接しており、高校生が高齢者からおすすめの本や読書体験をインタビューし、各所に展示して地域に発信する予定。読書会や展示物づくりのワークショップなどで話し合い、皆が担い手となることを重視している。
取り組みが認められ、書店や学校、図書館などの連携した読書のまちづくりを目指す県の補助事業に採択された。
4日のキックオフイベントには、守山北高の1、2年生9人と立命館守山中の1年生2人、老人ホームの利用者らが参加した。「ワークゆい」の利用者らが「ありがとうと言ってもらえるよう頑張って仕事します」などとあいさつ。その後、3人ずつのグループに分かれてそれぞれのおすすめの本を紹介しあった。
守山北高1年の生徒(15)は「図書館を利用する人には、自分が普段読まない本にチャレンジしてみてほしい」と話していた。
本棚は誰でも借りることができる。問い合わせは地域交流ホームゆい(077・585・4533)。
草津市の旧東海道沿いにある「とびら文庫」は2024年4月、元高校教師の田辺恵子さん(66)が自宅1階の仏間と洋室を使って開設した。棚の貸し出しは無料で、販売するか貸し出すかは、「棚主」の裁量に委ねているという。
チラシや口コミで、棚主は2年半で54人にまで増えた。本棚の他に、絵本用のラックを置いたり、押し入れを改造したりして本の置き場を作るほどだ。読書会などのイベントも行い、田辺さんは「地域の人々が集まり、考えを分かち合う場所になった」と喜ぶ。
大津市長等の「コレヤコノBOOKS」は昨年6月、商店街の空きスペースを利用してオープン。シェア型書店で、基本的に無人で営業し、料金は設置されている箱に支払う。発起人の1人、栗山誠司さん(48)によると「地元に関わりたい人や自己表現の場を求めていた人が集まっている」といい、今年4月には25棚から50棚に増設した。
栗山さんは「こんなに人気が出るとは。棚を整理しにきた棚主が、他の棚主と出会う交流の場になる。地域でつながる力を感じられた」と語っていた。
出典:読売新聞オンライン
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